2013/02/06

小小話

18:「遺書は、一通。」

「朝の参拝」
「人を謎の習慣みたいに言うんじゃない」
「いや、浅野先輩してそうだなーと思って」
「朝の参拝を?」
「ええ、浅野先輩だけに」
「俺は俺から見たら先輩じゃないんだけどなあ」
「はっ…」
「ははぁ」
「浅野先輩」
「うん、日出後輩」
「不謹慎な話をしていいですか?」
「だめです」
「………」
「嘘だよ」
「そういうのいいです」
「あはは」
「不謹慎で申し訳ないんですけど」
「構わないよ」
「仮に、先輩の近しい人が死んでしまったとするじゃないですか」
「日出後輩とかか」
「わあ、近しい人にしてくれるんですかー」
「いや、喜ぶなよ日出後輩今殺されたぞ」
「あ、ほんとですね」
「まあ、続けてください」
「さて、えーと、ああ、そうそう、死んでしまったとします」
「うん」
「遺書は、一通。浅野先輩宛てのものだけでした」
「…おう…」
「どう思います?」
「なんで俺なんだろう、家族とかはいいのかな」
「ですよねー」
「で?」
「封筒を開けます。手紙が出てきますね」
「うん」
「その手紙は、先輩の分からない言語で書かれていたとします」
「…難しい設定だな」
「まあ放っといてください。仮に、です」
「うん」
「どうにも理解出来そうにない。どうします?」
「うーん、その言語を勉強して、理解する努力はするかなあ」
「…あ、うーん…どうしましょう、そうじゃなくて…」
「?」
「じゃあ、その言語、わたしが既成の言語をめちゃくちゃに混ぜて作った、奇怪な言語だとしましょう」
「…高度だな日出後輩…」
「ほっとけー!」
「はいはい」
「単語とかは何か混ざってはいても見覚えがあるし、文法も体裁が整っている」
「ふむ」
「どうします?」
「…色々調べる、と思うよ」
「そうですか」
「ああ、でもどうしてそこでその言語を使ったのか、気になりはするかな」
「そうですかー」
「それは、日出後輩しか知らないことだろ」
「そうですねえ」
「なんで?」
「 現代文の時間に、微妙に漢文混じりの文章をやって思いました」
「へえ」
「しかもそれ人が死ぬんですよ。よくある授業中の妄想です」
「殺伐妄想ライフだな」
「殺伐妄想!日出後輩です」
「ラノベだな」
「だめですよ、最近のラノベなら"俺の後輩の授業中の妄想が殺伐としすぎている件についてお話があるんですが?"くらいやらないと」
「なんとまぁ」
「なんとまぁですね」
「ラノベ好きなの?」
「昔はたくさん読みましたねー」
「そっか」