15:「あたりさわっていいんですよ」
「浅野先輩」
「うん、日出後輩」
「今の記憶を持ったまま3年前に戻れるとしたら、どうしますか」
「3年前?…えーと、中3か」
「そうですね、先輩は」
「うーん…特に、何もしないかな」
「まじですか」
「うーん」
「後悔とかないんですか?ああしとけばよかったとか」
「それは、あるけど」
「修正したらいいじゃないですか」
「…修正したって多分、別のことでああしとけば良かったって、思うんだろうし」
「少しは、良くなるかもしれないですよ」
「全体的に見たら、そうかもしれないけれど…でも、本人からすれば不満は不満だろうからね」
「そんなもんですかねぇ」
「少なくとも俺は多分、そうかな」
「浅野先輩は欲がないですね」
「そんなことない。欲だらけだ」
「にくよくとかですか」
「死ね」
「…」
「……死ね」
「大事な事なので…」
「2回言いましたね」
「浅野先輩に死ねとか言われたの初めてじゃないですか」
「人に死ねとか言ったの久しぶりだなぁ」
「久しぶりの死ねがわたしですか、ひどい」
「俺は何度も言われてるけどね…」
「ひどいですねー」
「まったくだ」
「先輩はなんかこう、もっと死ねとか言うべきですよー」
「ののしられたい願望…!?」
「勝手に人をどえむみたいに言わないでくださいー!」
「どえむ後輩」
「死ね」
「死ね」
「怒りますよ!死ね!」
「もう怒ってんだろ死ね」
「…」
「……」
「不毛ですね」
「不毛ですね」
「はい」
「で、どういうこと?」
「死ね?」
「いやその前」
「あぁ、もっと死ねですか?」
「語弊」
「もっと死ねって言うべきってやつですね」
「そう」
「先輩ってあたりさわりないですよね」
「…そうかもね」
「あたりさわっていいんですよ」
「そうか」
「さわさわしていいんですよ」
「さわさわ」
「うわっへんたい!」
「死ね」