37: 「じゃあずっと言いません」
「浅野先輩」
「うん、日出後輩」
「わたしキャラ作ってるんですよー」
「あ、そうなんだ」
「だから今までのゆうぎりこうはいは、にせものです」
「そっかあ」
「感想をのべよ!」
「別にいいよ」
「えぇ、なんでですかー」
「そんな気はしてた」
「なんてこと言うんですか!」
「ごめん」
「嘘だったらどうするんですかーもー。全否定じゃないですかぁ」
「そうだな」
「そういうことです」
「キャラって作れるもんなの?」
「そうそう、それが問題なんですけどねぇ」
「作ってたゆうぎり後輩のキャラ嫌いじゃなかったよ」
「えぇ、まじですかー!やったー」
「で、これからはどうするんですか」
「進路の話ですか…!!!」
「ちげぇよ」
「冗談ですよ〜。うーん、どうしましょうかねぇ」
「んー」
「まぁ、めんどくさいからこのままでいいですかね」
「それはよかった」
「オンラインのゆうぎり後輩ってことで。たまにはね」
「オフ会したら紳士だったみたいなやつか」
「そうです、ほんものの日出後輩は深窓の令嬢、ですからね〜」
「深窓の令嬢も大変なんだなぁ」
「このご時世ですからね〜」
「いつか会えたらよろしくね」
「会えたらですよ。会えませんけどね」
「ハイになるからか」
「ええ。燃え尽きてしまうので」
「…」
「…」
「…」
「でも実際さ」
「はい」
「校内とかでいくらでもすれ違っている可能性はあるわけじゃん」
「そうですね〜。いんたーねっとの恐怖ってやつですね!」
「インターネットじゃないけどな」
「大差ないですよぉ」
「それもそうか」
「そうです」
「…楽譜さ」
「うっ」
「楽譜なんだけど」
「なんですか」
「なんで見ず知らずの人に譜読み頼んだの?」
「えぇ、ピアノ弾けないからですよぉ」
「いぶし銀の薫くんは?」
「なんか嫌じゃないですかぁ。ピアノ習ってたわけじゃないし」
「そうかぁ」
「飽きたら返してくれてもいいんですよー?」
「いやぁ、頼まれたことはきちんとやる主義なんで」
「うわぁ、えらい。いやだ」
「ひどい」
「そんなんだから浅野先輩は浅野先輩なんですよー」
「浅野先輩だからな」
「返してくれなくてもそれはそれでいいんですけどね」
「いや、手書きのだし、返すよ。弾いて返す」
「冬休み中って言ってませんでした?」
「あれ、独り言で言ったつもりだったんだけどなぁ」
「そんな気がしたんですよ。いしんでんしんってやつですよ」
「まぁ、弾けてはいるから」
「あ、そうなんですね」
「聞きたいときに言ってくれないかな」
「まじですか」
「もうちょっと弾いていたいし」
「じゃあずっと言いません」
「まじか」
「まじです」