36: 「どこかに行きたい〜、ってときの、」
「クリームパンがかたいです」
「いつのだよ」
「今日のですよー。しつれいな!」
「ごめん」
「寒いからですかねー」
「かなぁ」
「もそもそします」
「もそもそもそ」
「もそもそ」
「今日はパンなのか」
「今日はパンなんですよ」
「なんで?」
「パンがあったからです」
「なるほど」
「ああ、さむいなぁ。さむいです」
「冬だしな」
「手がしにそう」
「しなないで」
「無理です…」
「そう…」
「3月くらいにですね」
「うん」
「去年の」
「うん」
「どこかに行こうとしたんですけどね」
「どこか」
「どこかに行きたい〜、ってときの、どこか、です」
「どこかね」
「まあそんな、ちょっと遠くまで行ってみよっかーってあれだったんですけど」
「一人で?」
「いえ、きちがいと」
「きちがいのほうね」
「そうです。きちがいにたぶらかされて…!」
「いい友達じゃん」
「そうですよ。わたしの、自慢ですから」
「そっか」
「きちがいはですねえ、どこかに行けるって思ってたみたいなんですけど」
「行けなかった?」
「うーん、気分的なあれですね。たぶん。」
「うん?」
「どっか行こう!って思わないと行けないってやつです!」
「ゆうぎり後輩は行けないと思ってたのか」
「そりゃそうですよー。無理じゃないですかー」
「きちがいは?」
「行けたみたいですよー。うらやましい」
「さすが。」
「きちがいですからねぇ」
「そっか」
「わたしはどこにも行けないって知ってたので」
「うん」
「戻ってきちゃいましたね」
「ざんねんだ」
「こんどどっか行きたくなったらどこ行こうかなあ」
「山」
「山!?」
「ごめん適当」
「山ですかー」
「忘れて」
「山いいですね、夢はあるけど」
「あるかな」
「樹海とか…」
「樹海ないぞこのへんの山」
「あ、そうですね。じゃあそのへんの林まで」
「夢がないなぁ」
「やっぱ山より海ですよ。海海。水場がいいです!」
「海いいなぁ」
「でも今の時期の海はちょっとやばいですよ」
「ざぶざぶ」
「ざぶざぶざぶ」