26:「でも、それは過去ですから」
「あの、浅野先輩」
「うん、日出後輩」
「わたし今、すごく幸せなんですよー」
「それはよかった」
「でもですね、だから問題があるんですー」
「うん?」
「これから先、なんかもうしあわせ度は経る一方なんじゃっていうあれですね」
「それはまあ、ずいぶん後ろ向きだ」
「前向きすぎちゃったんです!」
「前衛的だな」
「ぜんえーてきです!」
「あばんぎゃるど」
「あばんぎゃるど日出後輩です」
「さすが日出後輩」
「んでですねー」
「うん」
「このまましあわせ度が下がっていく一方だとしますよ?」
「うん、」
「そしたら、いつかのわたしが思い出すわけですよ」
「幸せだった過去を?」
「そーです。あー、あの時のままいたかったなーって」
「なるほど」
「でも、それは過去ですから、もう戻れないですから」
「そうだね」
「だからそうなる前にですね」
「…しぬ?」
「そう!そうなんですよー!」
「…元気に死ぬとか言われても…」
「いやーさすがにたとえですよー!」
「よかったです」
「ふははー!」
「日出後輩が死んだら悲しいですので」
「浅野先輩がですか!?」
「普通に悲しいよ…」
「わあ、それはうれしい」
「いぶし銀の薫君もたぶんね」
「ほんとですかーそれ」
「しらないけど」
「いぶし銀薫くん、話してみたらどうですか」
「関連がまったくないよ…」
「たぶん分かるんじゃないですかねー、目立ちますしー」
「目立つんだ」
「文化祭とかでバンドとかやってますしねー」
「へえ」
「りあじゅうですからね!!!しねー!」
「お姉さんのお友達です」
「顔はしらないけど」
「そうだね…」
「…」
「…」
「……あぁ、さむいですー」
「雪も積もったからね」
「いきなりでしたねえ」
「今年もたくさん降るのかな」
「さあ、どうでしょうねー」
「降らないといいなー」
「なんでですかー?」
「学校に来るの、大変だから」
「あー、そうですねえ」
「ね」
「でもですねー浅野先輩」
「うん、日出後輩」
「残念ながら」
「雪は」
「降ります」
「降りますねー」
「しょうがないね」
「しょうがないですー」