3:「今は。」
「なあ日出後輩」
「なんでしょう、浅野先輩」
「もしかして、去年からずっとここにいた?」
「いえ、今年の春から、ですよ。」
「そう」
「浅野先輩はいたんですか」
「去年もいたし、一昨年もいた」
「それは気付きませんでした」
「そうだね」
「あれ、ということは先輩はぼっち先輩なんですか?」
「そうでもない」
「へぇ、いいですね」
「それなりにね」
「なくしてしまえ」
「なくしたら、分かるかもな」
「なくならないです。簡単には。」
「……」
「……」
「浅野先輩」
「うん、日出後輩」
「久々に沢山喋って、燃え尽きました」
「いつもそんなに喋らないのか」
「授業で音読当てられたときくらいしか」
「音読って、大概もそもそ喋るよな」
「もそもそ喋ります」
「もそもそ」
「もそもそもそ」
「日出後輩」
「なんでしょう、浅野先輩」
「今どこにいる?」
「先輩のうしろ」
「メガネ取りに来たんだろ」
「あっそうでした」
「命に関わることを忘れるな」
「そうですね、37回くらいは死にました」
「大変だな」
「残機無限です!」
「そっか」
「ところで先輩、どうやってメガネを受け取りましょう」
「顔は見ないままかな」
「先輩の後頭部はぼんやり見えてますけどね」
「俺の顔はそこじゃないぞ」
「えっ!!!」
「……」
「嘘です嘘です。振り向かないでくださいねー」
「はい」
「はい!たしかに!」
「日出後輩、メガネ外すってことはそんなに目が悪くないのか」
「そうですね!らがん生活です!」
「授業中だけとか?」
「いえ、らがん生活です」
「…伊達?」
「いえ、このめがねは本物です」
「そっか」
「本物です」
「うん」
「……」
「……」
「……」
「日出後輩」
「なんでしょう、浅野先輩」
「一緒にご飯食べる人、いないのか」
「今は。」
「…なるほど」
「先輩はいるんですか!死ね!」
「ひどい」
「……」
「……」
「…あっチャイムです」
「もうそんな時間か。授業面倒だなぁ」
「先輩は次、なんですか」
「数学」
「逆行列!」
「いや、今はセンター対策だけど」
「三角関数ですかー?」
「とかいろいろ。後輩は?」
「体育です!」
「うわあ」
「では先輩、たぶん、また明日」
「そうだね、たぶん。」