8:「とっておきですからねー」
「じゃんじゃかじゃかじゃか」
「……」
「じゃんじゃじゃーん!とつげき!日出さんちの昼ご飯の時間です」
「…ぱちぱちぱち」
「今日のお昼ご飯はですねー」
「ですねー?」
「おにぎりです」
「ほう」
「具はですね」
「うむ」
「つなまよです」
「邪道だ」
「わたしもそう思います」
「……」
「あ、浅野先輩」
「うん、日出後輩」
「お昼食べてるんですか?」
「うん、教室で」
「今日のごはんはー?」
「購買のクリームパンです」
「だけですか!?」
「うん」
「そだちざかりのおとこのこのくせに」
「そうかもねえ」
「先輩は甘いものだけでごはんを済ませるのに抵抗がない人ですか」
「…特に気にしたことなかったな」
「じゃあ先輩に日出さんのとっておき料理を教えてあげます」
「料理できるのか」
「弟のほうがうまいですけどねー」
「弟いるのか」
「ええ。似てないんですよー」
「へえ」
「あいつりあじゅうですからねー。ばくはつしろー!」
「なるほど」
「かたやぼっちですよ!!」
「既にぼっちじゃないだろ」
「わーい!」
「いくつ?」
「高1です。としごですよ」
「へえ」
「先輩にはきょうだい、いないんですか?」
「いるよ。妹」
「へえ、っぽいですね。仲いいんでしょうね」
「悪くはないと思う」
「いくつですか?」
「今中3、かな」
「いいですねー」
「うーん」
「あ、で、料理の話でしたっけ」
「そうだった。料理できるんだね」
「作り方があれば誰だって作れるもんですよー」
「まあ、そうか」
「日出さんのとっておきですからねー」
「へえ」
「まずりんごを用意します」
「…、うん」
「包丁を出します」
「うん」
「むきます」
「むきます」
「ぐるぐる」
「…」
「適当にカットします」
「さくさく」
「さくさくです」
「うん」
「そして食べます」
「……」
「むしゃむしゃ」
「…むしゃむしゃ」
「おいしいです」
「………」
「以上です」
「……りんご好きなの?」
「それなりですってば」